日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高HDL-コレステロール血症の臨床
II. 臨床像の特徴
秦 葭哉山本 実及川 孝光山内 喜夫長島 勉福沢 恒利中島 久実子重松 洋
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1986 年 23 巻 4 号 p. 413-421

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抄録
高HDL血症の臨床的意義を明らかにする目的で, 高HDL血症 (≧100mg/dl) と対照しての低HDL血症 (≦30mg/dl) の例を人間ドック受診者の集団より選び出し, 両群の臨床像を比較した.高HDL血症 (頻度0.8%) は, 30歳以降では女性が高率を占め, 男性ではアルコール摂取量の多い者であった. 男女共比較的痩せており, 男性でγ-GTPが高いほかは, 血清脂質や臨床化学検査に著しい異常をみない人達より成っていた. 低HDL血症 (頻度0.9%) は, 中年男性を中心にふえ, 体重増減率も+15%と肥満気味で, 高トリグリセライド血症が顕著で, 喫煙量が多かった. 両群の病理発生に関係すると思われる因子の内訳は対照的で, 多くの場合高HDL血症は男性でもアルコールを過剰に摂取しても肥満や高トリグリセライド血症のおこり難いタイプの人達, 低HDL血症はライフ, スタイルを反映した高トリグリセライド血症, 肥満傾向の裏現象としておきている可能性が考えられた.
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