日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老年者の尿酸代謝の特徴について
宮原 忠夫村井 淳志藤本 直規松田 実亀山 正邦
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1986 年 23 巻 5 号 p. 491-496

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抄録
老年者の尿酸代謝の特徴を明らかにする目的で, 一般外来老年者の血液生化学的検査値および Body Mass Index (BMI) と血清尿酸値の関係を検討した. さらに尿酸クリアランス (Cua) およびクレアチニンクリアランス (Ccr) と尿酸値の関係を検討した.
血清尿酸値は男性では年齢変化がみられなかったが, 女性では60歳代後半より上昇傾向がみられた. 利尿降圧薬 (サイアザイド系および非サイアザイド系) の服用者は非服用者に比較して有意の高値を示していた. 女性では高齢者程その程度が強くなる傾向がみられた. 高血圧, 脳梗塞, 心疾患, 糖尿病, 高脂質血症の有無, および飲酒や喫煙との関係では, 男性は高血圧, 女性は糖尿病で尿酸が高値であった. 一方, 検査項目では, 男女ともBMI, 血清クレアチニン, トリグリセライドと相関していた. 男性ではヘマトクリット値 (Hct) とも相関がみられた. また尿酸クリアランステストでは, 尿酸尿中排泄量 (UOua) と尿酸クリアランス (Cua) がともに低下していた.
以上より, 老年者の血清尿酸値は, 肥満度, 腎機能, Hctと関係しており, また尿酸産生と尿酸排泄がともに低下していると思われる.
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