1991 年 28 巻 5 号 p. 606-610
加齢に伴う胃の形態的変化と機能的変化の関連を, 胃排出を中心に, 同一対象92例にて検討した. まず, 対象の質を検討するために, 今回の対象における暦年齢と胃年齢との間の偏倚の有無を評価した. 形態的変化は萎縮性胃炎の拡がりで, 機能的変化は胃液検査による最高酸分泌量で検討し, 加齢と共に萎縮性胃炎は進展し, 最高酸分泌量は有意な低下が認められ, 対象における暦年齢と胃年齢との間に偏倚が存在しないことが確認された. これらの対象において, 加齢に伴う胃排出の変化を, acetaminophen 法にて検討したところ, 胃排出は加齢にかかわらずほぼ一定であった.