日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高糖質食の脂質代謝におよぼす影響
糖質の種類による差異について
五島 雄一郎中村 治雄堀 貞昭後藤 正博
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1966 年 3 巻 4 号 p. 295-299

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抄録

臨床的に高コレステロール血症3例 (type3) に, 庶糖あるいは澱粉を主とする高糖質食 (250g) を投与し, 血中諸脂質濃度ならびにその脂酸構成を測定した. 庶糖投与時に血中トリグリセリド濃度の著しい増加を知り, 同時に, 同脂質分画, 燐脂質, コレステロールエステルに, パルミチン酸, オレイン酸の増加, リノール酸の減少を認めた.
犬を用いた動物実験において, 庶糖より分解される fructose (100g), あるいは, 澱粉より生ずる, glucose (100g) を投与し, 肝切片のトリグリセリド含量ならびにその脂酸構成を測定した. 庶糖投与犬の肝トリグリセリド含量の著しく高いこと, また同分画におけるパルミチン酸オレイン酸の増加と, リノール酸の減少を認めた.
以上より, 庶糖は澱粉より脂質合成作用が強いが, それは庶糖より分解される fructose によるものであり, 肝ならびに血中では, 生体内で合成可能なパルミチン酸, オレイン酸の増加を認め, 合成不可能なリノール酸の減少を認めた.
さらに, glucose と fructose との脂質合成の差異に関し, その可能性について若干論及した.

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