日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
G-CSF投与により間質性肺炎を併発した2例を含む高齢者非ホジキン・リンパ腫症例のG-CSF投与と好中球機能
加藤 雅子志越 顕高田 雅史梅田 正法塚原 敏弘白井 達男
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1993 年 30 巻 11 号 p. 953-957

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抄録

7例の高齢者非ホジキン・リンパ腫を対象として, 化学療法後の好中球減少期にG-CSFを投与し, G-CSF投与前, 投与中の好中球機能を測定した. 大腸菌由来のG-CSF75μg/d・皮下注投与を好中球が1,500/μl以下に減少した時に開始し, 10,000/μl前後に増加するまで続けた. 高齢者非ホジキン・リンパ腫症例のG-CSF投与3日目の貪食活性は1,130±403粒子/100PMNsであり, 投与前と比較し185.7±31.4%と顕著に (p<0.001) 亢進していた. NAP活性も前値と比べ, G-CSF投与3日後には398.3±69を示し135.2±5.1% (p<0.001) に亢進していた. 2例にG-CSF投与中または投与直後間質性肺炎を併発した. 間質性肺炎は好中球数が増加し, 好中球機能が亢進した時に急激に発症している. 2例のG-CSF使用中の貪食活性は, 使用前のそれぞれ644±29/100PMNs, 465±69/100PMNsと比べると, それぞれ1,090±26/100PMNs, および772/100PMNsに亢進していた. NAP活性もG-CSF投与中は372と, 投与前の264と比べ同様に亢進していた. 1例でG-CSF投与中, 一過性の呼吸不全を併発した. 好中球数は13,000/μl以上に増加し, 貪食活性も949±105/100PMNsに亢進した時に発症したが, PaO2の低下を伴った呼吸困難はG-CSFの投与を中止すると同時に改善し, 可逆性であった. 高齢者には肺機能検査を頻回に行わなくてはならない.

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