抄録
特別養護および養護老人ホームなど, 高齢者施設利用者の日常生活活動レベルは一般に低く, 日常生活活動強度0.25以下の人達がその約半数を占めている. しかし, 健常自立者への適用を原則とする現在の栄養所要量では, 生活活動強度が0.25より低い高齢虚弱者のためのエネルギー所要量値は示されていない. そこで, 高齢者施設における給食サービスのための栄養基準量は, 多くの場合, 生活活動強度I (軽い) の年齢区分に従い算定されている. その結果, 給与エネルギー量が, その消費エネルギーの実態と必ずしも対応していないのではないか, という疑問がある. そこで本研究では, 高齢虚弱者の基礎代謝量を測定する一方, その生活時間調査を実施してエネルギー消費の実態を明らかにし, 生活活動レベルの低い高齢虚弱者のためのエネルギー所要量について検討した. その結果, 生活活動指数0.25~0.00に対応するエネルギー所要量試算値は, 体重当り31~21kcal/kgの範囲にあった.