抄録
lysyl pyridinoline (以下LPと略す) および hydroxylysyl pyridinoline (以下HLと略す) ともに高齢者ほど僅かながら増加しており, 年齢との間に弱いながら有意な正の相関関係が認められた(それぞれr=0.24, p<0.05; r=0.35, p<0.005). 血清 osteocalcin (以下BGPと略す) も年齢との間に同様な有意な正の相関関係が認められた (r=0.39, p<0.005). 90歳代後半のLP, HLおよびBGPは50歳代前半に比べて20~30%増加していた.
LP或いはHLとBGPとの間に三次曲線で表せる有意な正の相関関係が認められた (それぞれr=0.51, p<0.005; r=0.44, p<0.005). 各年齢層におけるLP或いはHLとBGPとの相関を検討すると, 50歳および60歳代では有意な相関が認められたが, 70歳代および80歳代においては有意な相関は認められなかった.
今回の結果は限られた地域住民の分析から得られたものであり, また用いた生化学的指標に限界はあるものの, 今回の対象をこれらの指標でみた限りでは, 閉経後の骨塩量減少の原因として, 加齢にともなう骨代謝の coupling 機構の破綻が一部関与する可能性が示唆された.