日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
当科における高齢者非ホジキンリンパ腫の治療成績
VEPA療法とML-Y1療法の比較
田辺 寿一金森 平和松崎 道男本村 茂樹毛利 博大久保 隆男丸田 壱郎児玉 文雄
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1994 年 31 巻 2 号 p. 135-141

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抄録

初診時年齢65歳以上の高齢者非ホジキンリンパ腫32例に対して, VEPA療法を16例に, また当科で考察した多剤交替併用療法であるML-Y1療法を16例に施行し, その治療効果を比較検討した. 症例は年齢65~77歳 (中央値70歳) であり, 男性19例, 女性13例であり, 治療成績はVEPA群, ML-Y1群で完全寛解はそれぞれ6例 (37.5%) および5例 (31.2%), 50%生在期間は20カ月および13カ月で有意差を認めなかった. 主な副作用として, 骨髄抑制, 脱毛, 悪心・嘔吐, 口内炎, 末梢神経障害が両群で同様に認められ, また, 間質性肺炎の合併は有意差はないもののML-L1群で高頻度に認められた. 高齢者に対してのVEPA療法の治療成績は良好といい難く, またML-Y1群においても, 骨髄抑制によるreceived dose intensity の低下や, 間質性肺炎等の重篤な合併症により治療成績がVEPA群と同程度に留まったと考えられ, 新たな治療法を考案していく必要があると思われた.

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