日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
三重県南勢町における骨粗鬆症の集団検診について
南勢町研究 第2報
常岡 克伸垣本 斉国吉 幹夫小西 得司中野 赳
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1995 年 32 巻 11 号 p. 715-721

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抄録

Microdensitometry 法 (以下MD法) を用いて骨量測定と食生活調査を1992年三重県南勢町にて行った. 骨量減少者を早期に発見するための骨粗鬆症スクリーニングについて検討した. 三重県南勢町 (人口12,107人) の40歳以上の住民852人 (男性308人, 女性544人) を対象とした. 検診項目は問診, 身長と体重の測定, 血液検査, MD法で骨量測定を行い, 同時に食生活アンケート調査を行った. その結果, 骨量減少群は76人 (8.9%) であった.
骨量減少群を性別でみると圧倒的に女性が多かった. 身長と体重については有意に骨量減少群で低値であった. 血液検査では, 血清カルシウム (Ca), アルカリフォスファターゼ (ALP), 無機リン (P) の測定値は両群間に差は認めなかった. 家族構成では一人暮らしの割合が, 骨量正常群では3.6%であったが, 骨量減少群では13.5%と多かった (p<0.05).
食生活調査では若い頃 (20歳頃) の牛乳・緑黄色野菜摂取量において両群間に差はなかった. 現在の食生活に関しても牛乳・緑黄色野菜摂取量で両群間に差はなかった. 1991年に同地域で実施された国民栄養調査に準じた食生活実態調査によると, 栄養摂取量が国の平均所要量を上まわっているとともに, 魚介類の摂取量が多いという結果が得られている.
骨粗鬆症のスクリーニングに関しては, 未だ試行段階であり, 様々な問題点と課題があり, 今後十分な研究が必要と思われる. スクリーニングの対象としては閉経前, 閉経期, および閉経直後の女性が重要である.

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