日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老年者の胃・十二指腸潰瘍とその合併症
川原田 信佐藤 保則
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1996 年 33 巻 12 号 p. 940-944

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抄録

対象は当院に種々の疾病の治療のために入院した65歳以上の老年者1,470例で, そのうち胃・十二指腸潰瘍は60例 (4.1%: 胃潰瘍50例, 十二指腸潰瘍10例) にみとめられた.
胃潰瘍の発生部位では胃体~噴門部潰瘍が24例 (48.0%), また潰瘍数では多発潰瘍8例 (16.0%) など高位化, 多発化する傾向があった.
胃・十二指腸潰瘍の主訴では, 吐血・下血が20例 (33.3%) にみとめられ早期の治療が必要であった. また全身倦怠感など非定型的症状も25名にみとめられた.
胃・十二指腸潰瘍の誘因としてはNSAIDs10例 (16.7%), ステロイド5例 (8.3%), 不明45例 (75.0%) と基礎疾患の治療のために使用された薬剤が誘因となる割合が高かった.
合併症としては吐血・下血, 穿孔が各々20例 (33.3%). 2例 (3.3%) にみられ, とくに十二指腸潰瘍例で出血死, 腹膜炎など重症化する傾向にあった.

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