日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高齢悪性腫瘍患者の概括的検討
森 真由美橋本 肇高橋 忠雄軽部 俊二中内 浩二小林 秀木田 厚瑞紀 健二山田 英夫
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キーワード: 高齢者, 悪性腫瘍
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1997 年 34 巻 2 号 p. 130-134

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抄録
老人専門病院において1年4カ月の間に退院した悪性腫瘍患者の調査を行った. 退院者6,239人の16.7%, 死亡退院の46.7%が悪性腫瘍を有していた. 調査が行われた悪性腫瘍を持つ909人 (平均年齢78.6歳) の診断名は, 胃癌, 大腸癌, 肺癌の順に高頻度であった. この中, 死亡退院者 (249人) での発生頻度は, 胃癌, 肺癌, 肝臓癌の順であった. 発見のきっかけは, 健康診断9.2%, 自覚症状52.3%,他覚症状7.1%, 他疾患の検査中33.2%であった. 初診時の病気の進展度をみると, 胃癌, 乳癌, 膀胱癌では比較的早期例の頻度が高いが, 全体では23.4%に遠隔転移があり, Stage 分類では51%が Stage IV~Vで進行している例が多かった. また82.3%は他疾患を合併していた. 告知は31.2%に行われていた. 90歳代の64.1%, 80歳代の71.4%, 全体の76.1%が積極的治療を受けた. 手術例では70.7%が治癒的手術を受け, その他の治療法では33.6%が退院時に改善以上の成績を得ている. 63%の患者においては,退院時のPSは入院時に比べ不変ないし改善された. これは, PS不明例 (70例) を除くと, 生存退院者の96.4%にあたる.
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