日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
85歳以上の高齢者非ホジキンリンパ腫に対する etoposide 少量持続経口投与の検討
新津 望中山 道弘梅田 正法
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1997 年 34 巻 4 号 p. 263-266

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抄録

高齢者非ホジキンリンパ腫 (NHL) の治療成績は, 個々の症例に応じた化学療法剤の用法用量設定, 支持療法の進歩などにより向上しているが, 85歳以上の高齢者では入院治療による弊害 (長期入院による痴呆, 歩行障害, 鬱状態など) も少なくない. 今回, 85歳以上の未治療NHL 10例に対し, 外来で etoposide 25mgあるいは50mg/dayを可能な限り長期連日経口投与した. 白血球数2,000/μl以下あるいは血小板数5×104l以下となった時点で中止とした. 治療効果は, 4例に完全寛解, 4例に部分寛解を得, 生存期間中央値19カ月であった. 副作用は, 1,000/μl以下の白血球減少1例, 5×104l以下の血小板減少1例, 食欲不振1例であった.
以上より, etoposide 少量持続経口投与法は高齢者NHLに対しても有効でかつ安全に施行でき, 外来にても重篤な副作用もなかった. よって, 高齢者の quality of life の面からも優れた治療方法であることが示唆された.

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