1998 年 35 巻 11 号 p. 839-844
第4次循環器疾患基礎調査 (平成2年実施) 成績より, 30歳以上の対象8,063人 (平均年齢52.4±14.1歳) の耐糖能異常者の頻度を問診, 随時血糖, 尿糖およびHbA1cより判定した. 耐糖能異常者の頻度は男性11.9%, 女性6.3%, 全体では8.6%であり, 高齢になるほどその頻度は増加し, 65歳以上の高齢者群では65歳未満の非高齢者群に比べ男性で約1.7倍, 女性で約2.5倍の頻度であった. また, いずれの年代でも男性の耐糖能異常者の頻度が大であり, 40歳代以上で有意となった.
居住地域別では, 男性大都市居住者で耐糖能異常の頻度が郡部町村に比して有意に多かった. 男性では肥満者および日常生活活動度が低い者で耐糖能異常者の頻度が高かった. 都市住民では町村住民に比べ日常生活活動度が低い者の頻度が高く, 男性における耐糖能異常者頻度の地域差の原因として, 日常生活活動度の違いが関与している可能性が窺われた.
糖尿病の一次予防として, 余暇を含め生活活動度を高めることが重要であると考えられた.