2001 年 38 巻 5 号 p. 696-699
症例は71歳, 女性. 20年前から本態性高血圧症と診断され, 既往症に全身性エリテマトーデスがありステロイド治療中であった. 降圧目的で2年前からアムロジピン, 3カ月前からカンデサルタンを投与され経過中に全身性の浮腫が出現し入院した. 心原性, 腎性の浮腫が否定されたため薬剤性の浮腫と考えカンデサルタン, アムロジピンの順に中止したところアムロジピン中止で浮腫が完全に消失した. 血圧コントロール不良にてカンデサルタン再開するも浮腫の再発がなかったため退院したが, 外来経過中に浮腫が再び出現した. 全身性エリテマトーデスに対しステロイド治療中の高齢者において, 降圧薬使用が全身性浮腫出現・消退の契機になったと考えられた難治性症例を経験した.