日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
東京地区における介護保険導入に伴う介護状況の変化1
導入前の介護状況
広瀬 信義谷 正人鳥羽 研二大荷 満生新 弘一難波 吉雄大内 尉義井藤 英喜大庭 建三
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キーワード: 介護保険, 介護疲労度
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2002 年 39 巻 1 号 p. 20-21

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抄録

2000年4月に施行された介護保険制度が介護状況にどの様な影響を及ぼすかを東京地区において検討した. 被介護者の特徴は, 平均年齢は81.3歳で, 原疾患としては高血圧, 脳卒中, 心臓病が多く, ADLは低下していた. 介護提供者の特徴は, 平均年齢61.1歳, 女性が圧倒的に多かった. 訪問看護, デイサービス, 訪問介護員がよく利用された. 利用サービスの評価については, 短期入所, 宅配給食サービス, 通所通院リハビリの満足度は低かった. 介護時間は毎日 (終日) 介護している割合が64%で, 介護による疲労度は90%の介護提供者が何らかの疲労を感じていた. 介護時間の長さ, 被介護者のADLが介護による疲労度と関連した. この疲労度は介護提供者のQOLを著しく低下させた. 介護保険導入により, 介護提供者のQOLを向上させるか, 被介護者のQOLが向上するかが今後の検討と考えられた.

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