2002 年 39 巻 1 号 p. 20-21
2000年4月に施行された介護保険制度が介護状況にどの様な影響を及ぼすかを東京地区において検討した. 被介護者の特徴は, 平均年齢は81.3歳で, 原疾患としては高血圧, 脳卒中, 心臓病が多く, ADLは低下していた. 介護提供者の特徴は, 平均年齢61.1歳, 女性が圧倒的に多かった. 訪問看護, デイサービス, 訪問介護員がよく利用された. 利用サービスの評価については, 短期入所, 宅配給食サービス, 通所通院リハビリの満足度は低かった. 介護時間は毎日 (終日) 介護している割合が64%で, 介護による疲労度は90%の介護提供者が何らかの疲労を感じていた. 介護時間の長さ, 被介護者のADLが介護による疲労度と関連した. この疲労度は介護提供者のQOLを著しく低下させた. 介護保険導入により, 介護提供者のQOLを向上させるか, 被介護者のQOLが向上するかが今後の検討と考えられた.