診療報酬改定によって在院日数短縮のインセンティブが強まっている昨今, 退院支援の重要性についての認識が高まっている. 退院支援とは, 患者が異なるケア環境に円滑に移行するのを助けるための「一連のプロセス」であり, かつそれを行うための「病院全体のシステム」である. 本稿では, 高齢者の退院支援に関する研究の現況について, 病院の特性に応じた退院支援体制のあり方, ハイリスク患者を早期に発見するためのスクリーニング方法の開発, 支援方法の改善を目指す介入研究, 支援過程自体の評価, 病院と地域との連携の際に生ずる情報提供にあたっての問題点という, 5つの切り口から検討した. 日本では, 退院支援の実践・研究共に歴史が浅いが, 今後は, 臨床と研究機関との協働により, 患者・家族と医療者双方にとって有益な支援が行われるよう, 知見を蓄積していくことが必要である.