日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
螢光眼底撮影法よりみた高血圧性網膜病変判定上の諸問題 (第3報)
微小循環の検討
水嶋 昇溝部 炳村井 俊介額賀 厚徳
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1967 年 4 巻 5 号 p. 257-263

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抄録

諸種の薬物および因子に反応する末梢血管の態度を, 眼底血管について観察した.
1) 酸素吸入 (100%酸素を15分間持続吸入) 後の血管は, 酸素吸入以前のものに比較して, 著しく収縮する.
2) 正常白ウサギおよび黒ウサギに, 螢光眼底撮影法を行なうと, まず鼻側動脈から螢光物質が消褪していく像を認めた.
3) 昇圧アミンであるメトキサミンを, 白ウサギおよび黒ウサギに静注すると, 末梢血管は著しく収縮する. これは血圧の上昇と相関した.
4) アンギオテンシンを, 白ウサギおよび黒ウサギに静注すると, 3) の場合と同様に, 末梢血管の収縮を認めた. この場合も血圧の上昇と相関があった.
5) 降圧物質である亜硝酸ソーダを, 黒ウサギに静注すると, 3), 4) の場合とは逆に末梢血管の拡張がみられ, 血圧の下降と相関が認められた.
6) セロトニンを, 白ウサギおよび黒ウサギに100μg/kg静注して観察したが, この物質が, 平滑筋に対して, 強い収縮力を与えるといわれるにもかかわらず, 血管および血圧に一定の変動はみられなかった.
7) ブラジキニンを, 白ウサギおよび黒ウサギに500μg/kg静注したところ, 血管の拡張および血圧の上昇を認めた. これは, ブラジキニンが局所の血管拡張および血液量増加をきたすという. 報告に一致する.

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