2003 年 40 巻 1 号 p. 65-68
症例は65歳女性. 心窩部痛を主訴に受診, 超音波検査およびCTで肝臍部に腫瘍が認められ, 針生検で非ホジキンリンパ腫 (diffuse large B cell type) と診断された. 治療にはTHP-COP療法を選択したところ, 3クール終了時点で完全寛解が得られた.
肝原発の悪性リンパ腫は比較的まれな疾患であり, その標準的治療はいまだ確立していない. 本邦では外科的切除されているケースが多いが, 本例では保存的治療で完全寛解に導くことができ, 本疾患の取り扱いを考える上で貴重な症例であると思われる.