遺伝学雑誌
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アサガホの斑點花因子とリンケーヂをなす新打込性因子
萩原 時雄
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1939 年 15 巻 2 号 p. 86-90

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抄録

1. 葉の表面が平でなくて, 葉縁が上方に幾分卷上つた打込性といふ形質は普通は劣性である。從來本形質に關して, 3個の劣性因子が明かにされてある。即ち, 今井氏により明かにされた斑入葉リンケーヂ群??攀??椀?? c1 因子, 笹葉リンケーヂ群??攀??椀?? c2 因子と, 著者により明かにされた丸葉リンケーヂ群??攀??椀?? c3 因子である。
2. 以上因子の外に, 別の打込性因子 c4 がある。この因子は有色莖白色花因子 c と31.4%, 斑點花因子 sp1 と31.2%の組換價を夫々示す。
3. 緑色莖白色花に關する因子 r ??攀??椀?? c4 因子に33.6%の組換價あるリンケーヂが存する。c, r 兩因子間には已報の如くリンケーヂがあるから, 4因子♯?攀??椀?? c4-sp1-c-r♪ の順に夫々の因子座を占むるものと考へる。
4. 立田葉因子 m は黄葉因子 y2 と36.6%, 白色花因子 r と48.0%打込性因子 c4 と36.6% の組換價を夫々有するし, r 因子♯?攀??椀?? y2 因子と44.4%の組換價を有する。この事實は, 茶褐色花因子 dy が黄葉因子 y1 と強度のリンケーヂを有し, c4 因子と37.4%の組換價を有し, c4, y1 兩因子間に37.6%の組換價ある事實と共に, 斑點花リンケーヂ群が黄葉リンケーヂ群に併合されると云ふ著者の提案を確證するものである。
5. 打込性に關する新因子 crumpled 4, (c4) は黄葉リンケーヂ群に屬するもので, 黄葉因子 y2 と斑點花因子 sp1 の因子座の間に因子座を占むるものと考へられる。

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