遺伝学雑誌
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甘蔗花粉に關する研究 I
人工發芽床上に於ける花粉の發芽試驗1
權藤 安武高橋 翠
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1939 年 15 巻 4 号 p. 194-208

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抄録

1. 甘蔗の雌蕋の柱頭細胞の滲透價は約 6/10mol 水素イオン濃度は pH 58-6.0 である。
2. 人工發芽床に 5×10-5% の硼酸を添加すると花粉發芽率は 36% から 43% に高まり破裂率は 31% から 24% に低下した。
3. 人工發芽床の蔗糖の濃度が 6/10-7/10mol の時花粉發芽率は最高く破裂率は最低い結果を得た。これは柱頭細胞の滲透價とほぼ一致する。
4. 人工發芽床の寒天の濃度は 0.2% の時花粉發芽率が最高いが寒天を含まぬ場合と同樣に花粉管が畸形を呈するから最適濃度は 0.4-0.5% と考へられる。
5. 人工發芽床の水素イオン濃度が pH 5.2-6.4 の時發芽率が良好で pH 5.4-5.6 の時最發芽率が高い。花粉管の伸長はそれよりも pH がやや高い方が良好である。
6. 以上の結果から著者等は甘蔗花粉の人工發芽床として或程度迄目的に副ふと考へらるるものを得た。
7. 從來人工發芽床上に於ける甘蔗花粉の發芽率は最高 61% であつたが著者等は2BSA を用ひ Saccharum spontaneus alas Karenko に於て 80% の發芽率を得た。
8. 人工發芽床上では花粉は播付け後20分以内に殆ど全部發芽するから1時間後に發芽率を調べるのが適當である。

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