Genome Informatics
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非正規関係 DBMS「Kappa」による遺伝子、タンパク質データベースの構築
中田 和雄田中 秀俊
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1990 年 1 巻 p. D-6

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抄録

最近の分子生物学においては、各種の実験によってもたらされる多量の情報を、如何に整理、活用するかについて、その方法が色々と論じられている。その中でも、遺伝子やタンパク質に関する解析情報は、その量の多さに加えて、解析情報そのものの内容及び形態が多種にわたる為、これらをまとめて、1つの体系的な情報源を構築する方法は、その実現がかなり難しいようである。
新世代コンピュータ技術開発機構では、当機構の研究成果として開発した逐次推論マシン「PSI」の応用分野の1つとして、分子生物学における知識情報処理を選択した。そして今回、遺伝子やタンパク質に関する多量の解析情報の整理の1手段として、PSI上のデータベース構築用として開発されたデータベース管理システム「Kappa」を用いた遺伝子、タンパク質データベースの構築を行った。
Kappaは、既存のリレーショナル・データベースの概念を拡張し、非正規的な関係をも表現できるようにした、新しいタイプのデータベース管理システムである。またKappaは、PSI上で構築される各種の知識情報処理プログラムとの連係も簡単に行えるよう設計されている。
今回の発表では、Kappaの仕組みや利用方法の概要について説明する。併せて、今回行った、遺伝子データベース「Gen Bank」及びタンパク質データベース「PIR」のデータに基づいた、Kappaによる遺伝子、タンパク質データベース構築の内容、また、データベース構築と平行して作成した遺伝子配列のアライメント・プログラムや配列情報のビジュアル化プログラムとKappaとの連係について説明を行う。また、今回構築したデータベースの今後の応用方法や、分子生物学における Kappa利用の方向性などについても言及する。

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© 日本バイオインフォマティクス学会
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