損害保険研究
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<研究論文>
船級協会の法的責任の動向
清水 耕一
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2015 年 76 巻 4 号 p. 65-92

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抄録

 船舶の安全運航のため,安全運航,支障のある危険な船舶を排除する仕組みである船級協会の法的責任について検討した。船級協会は船級契約当事者以外の第三者に対して責任を負わないという議論があるが,船級協会の二重機能により公法上の責任と私法上の責任との範囲を明確に分けることができなくなっているということにより,船級協会には船級契約当事者以外の第三者に対して責任を負担する余地が生じうる。さらに,大惨事となったタンカーからの油流出事故として有名なエリカ号事件に関するフランス破毀院判決(2012年9月25日)の動向を踏まえて,船級協会の第三者に対する責任を認め,海事関係者との協力のもとに船舶安全運航のための厳格な安全検査基準の構築と実施を求める。

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