損害保険研究
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Print ISSN : 0287-6337
<論文>
請求権保全義務違反に関する一考察
上田 昌嗣
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2016 年 78 巻 3 号 p. 111-133

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抄録

 請求権代位における請求権保全義務違反について,その主観的要件に関する通説的見解は,請求権を故意に放棄した場合に請求権保全義務違反とする説である。一方,損害保険における実務においては,必ずしも主観的要件を考慮していない可能性があると考えられ,学説との乖離があるのではないか,との疑問がある。また近年,請求権代位の根拠に関しても,従来考えられていた根拠に疑問を呈する議論も多くみられるようになり,請求権代位制度そのものについても再考を促されていると思われる。

 以上のような前提において,請求権保全義務違反そのものも変容を迫られていると考え,通説的見解や損害保険における実務での考え方を克服するような,新たな考え方を検討した。また,かかる議論において,実際にどのように適用されるかが重要であり,具体例での適用における帰結についても合わせて検討を行った。

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