損害保険研究
Online ISSN : 2434-060X
Print ISSN : 0287-6337
<研究論文>
生損保相互参入とは何だったのか
―相互参入とその時代―
大島 道雄
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2020 年 82 巻 2 号 p. 1-49

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抄録

1995年の保険業法改正に伴う生・損保の相互参入については,生保系損保に関しては肯定的な評価は聞かれず,一方,損保系生保は順調に成長しているといった評価が一般的である。しかしこれらの評価のほとんどは生・損保子会社の動きにのみ焦点を当てたものであり,当時の生・損保両市場の動向や同時期に新たに市場に参入した保険会社の動き等にはほとんど触れていないため,相互参入について全体像を対象にしたものではない。本稿は,相互参入時期の生・損両保険市場の状況を確認の上,生・損保両事業の新規企業の戦略,料率水準および販売網について比較・考察を行なった。この結果,これらの要素が相互参入時期の生・損保両事業に対し極めて大きな影響を与えていたことを指摘するとともに,相互参入とは「生・損保の市場および経営の特性を同時進行的に同一評価基準で比較・考察できる最良の機会」と位置付けられることを論じたものである。

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