2021 年 83 巻 2 号 p. 99-118
地震保険は複数の特性を有している。それに起因して価格以外の要因がその需要に影響していると考えられ,地震保険需要に影響を与えるそれらの諸要因を明確にすることが本研究の目的である。そこで,保険料率,世帯人数,持ち家率,教育(進学率),リスク認知(地震発生確率と地震発生意識)によって地震保険需要の変動を説明する諸仮説を設定した。そして,これらの仮説に基づいた重回帰分析において,教育(進学率)とリスク認知(地震発生意識)が地震保険需要に影響を与えていることが認められた。さらにこの結果を基にして,教育(進学率)とリスク認知(地震発生意識)の関係を説明する仮説を設定した。この仮説に基づいた単回帰分析を行い,教育(進学率)はリスク認知(地震発生意識)に正の影響を与えるという結果を得た。