痛風と核酸代謝
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原著 1
尿酸トランスポーターURAT1トランスジェニックマウスにおける尿酸の体内動態
塚田 愛木村 徹Jutabha Promsuk安西 尚彦市田 公美櫻井 裕之
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2010 年 34 巻 2 号 p. 171-178

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抄録
尿酸はヒトにおけるプリン体の最終代謝産物であり,主に腎臓から排泄される.腎臓での尿酸の排泄亢進や排泄低下によって腎性低尿酸血症や高尿酸血症が引き起こされるため,腎臓での尿酸輸送を理解することは臨床的に重要である.尿酸トランスポーターURAT1は,腎臓近位尿細管管腔側において尿酸再吸収を行う分子である.このURAT1は尿酸降下薬の作用点であり,また遺伝子変異により腎性低尿酸血症をきたす.よってURAT1は血中尿酸値に大きく影響を及ぼす因子であると考えられるが,その発現が尿酸値や他の尿酸トランスポーターにどのような影響を及ぼすのか明らかになっていない.そこで,URAT1トランスジェニック(Tg)マウスを用いて,尿酸値測定およびマイクロアレイと定量PCRによる遺伝子発現変化の解析を行った.
RT-PCRの結果から,Urat1 mRNAが腎臓特異的に発現しており,Tgマウスでは野生型と比べて発現量の上昇が見られた.ウエスタンブロットおよび免疫組織染色により,導入したHA-mURAT1タンパク質が腎臓の近位尿細管管腔側に発現していることを確認した.以上の結果から,導入したHA-mURAT1がすでに報告されているmURAT1と同様の発現分布を示し,URAT1が過剰発現していることを確認できた.そこで,このマウスをモデルとして解析を行った.血中および尿中尿酸値を測定した結果,どちらの尿酸値にも変化が見られなかった.マイクロアレイおよび定量PCRにて検討した結果,Urat1遺伝子はTgマウスにおいて発現が有意に増加していたが,他の尿酸トランスポーターや尿酸代謝酵素の遺伝子の発現量に変化は見られなかった.以上の結果より,URAT1過剰発現は,マウス生体内での尿酸動態および他の尿酸トランスポーターや尿酸代謝酵素の遺伝子発現に大きな影響を及ぼさないことが示された.
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© 2010 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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