抄録
症例は75歳の透析歴26年の男性患者.副甲状腺摘出術,胆嚢癌的手術の既往あり.家族歴は特記事項無し.2012年6月頃より微熱と両側の肩と右膝の関節痛を自覚した.近医で,貧血,炎症反応上昇を認め当科を紹介,入院した.画像検査上,多関節に嚢胞性腫瘤を認め,一部に気体像を認めた.鑑別として致死的な化膿性関節炎,感染性滑液包炎等が挙げられたが,関節穿刺液や血液検査からは,細菌感染の所見は得られず,Calcium pyrophosphate dehydrate(CPPD)結晶が検出されるのみであった.それでも慢性CPPD結晶沈着症と他疾患の併存の可能性も考えられたため,安静,NSAIDsの投与を行い,一時的に軽快したため退院した.しかし数ヵ月にわたり炎症反応は遷延し,誘因なく悪化を認め再度入院した.経過中,画像上嚢胞性腫瘤は性状,大きさとも変化を認めていなかった.しかし胸部CT上,両肺に非区域性のスリガラス陰影の出現を認めた.数日の経過でスリガラス陰影の悪化を認めたため,最終的にプレドニゾロン(PSL)の投与を行い,スリガラス陰影の改善とともに関節炎の所見も速やかに改善した.無治療でも明らかな増悪は認めず,ステロイドが著効したことから,CPPD結晶沈着症と診断した.