抄録
低尿酸・高オキシプリン血症を呈する疾患として,従来,先天性キサンチンオキシダーゼ欠損症が知られているが,今回,腎性機序に基づく低尿酸・高オキシプリン血症の1例を経験した.症例は,パーキンソン症候群を合併する50歳男性である.血中尿酸濃度は0.98±0.02mg/dl(58.3±1.2μmol/l)(Mean±S.E.)と低値であり,尿中尿酸排泄量は正常であったが,尿酸クリアランス(CuA)は30.3±1.6ml/min,尿酸・クレアチニンクリアランス比(CUA/Ccr)は31.4±1.2%と高く,腎性低尿酸血症と診断した.一方,血中オキシプリンとイノシン濃度は正常対照の約3-6倍に増加していたが[ キサンチン(X)患者1.32±0.05μmol/l vs.正常0.49±0.02;ヒポキサンチン(Hx)5.90±1.55vs.1.72±0.08;イノシン(Ino)2.52±0.29vs.0.41±0.05],これらプリン体の尿中排泄量はほぼ正常であった.そこで,これらプリン体の腎クリアランスを検討したところ, Cx/Ccr は2 5.5 ± 2.6%(正常46.5±2.4),CHx/Ccrは11.8±1.1%(正常25.0±1.6),CIno/Ccrは7.2±0.5%(正常29.4±5.9)といずれも1/2-1/4に低下していた.さらに,生検肝のキサンチンオキシダーゼ活性およびオキシプリン含量は正常であった.以上,本症例は,腎におけるオキシプリンの排泄低下に基づく高オキシプリン血症を合併した腎性低尿酸血症と考えられた.