プリン・ピリミジン代謝
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原発性痛風患者における血清Lp(a)の検討
高橋 澄夫山本 徹也森脇 優司栖田 道雄波田 寿一東野 一彌
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1991 年 15 巻 2 号 p. 86-90

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抄録

動脈硬化と関連があるといわれている血清lipoprotein(a)を血清脂質とともに測定し,痛風患者における動脈硬化症の危険因子としての意義を検討した.
血清脂質では総コレステロールとリン脂質には差を認めなかったが,中性脂肪が痛風群で193.1±148.5mg/dl,健常群で126.2±60.0mg/dlと痛風群で有意に上昇していた(P<0.01). HDL-コレステロールは痛風群で46.8±12.2mg/dl,健常群で52.1±14.4mg/dlと痛風群で有意に低下していた(p<0.01).血清lipoprotein(a)とアポリポ蛋白Bは痛風群と健常群とで,それぞれ21.7±18.4mg/dl vs.12.3±10.5mg/dl,104.2±24.9mg/dl vs.95.3±21.4mg/dlであり痛風群で有意に上昇していた(P<0.01, P<0.01) . 痛風群と健常群の血清lipoprotein(a)と年齢・bodymass index・アルコール摂取量・血清尿酸値・γ-GTP・血清脂質およびアポリポ蛋白Bとの間にはいずれも相関関係は認められなかった.
これらの結果より,血清lipoprotein(a)の上昇は, HDL-コレステロールの低下・中性脂肪およびアポリポ蛋白Bの増加に加えて,痛風患者における動脈硬化症の独立した危険因子の一つになり得ると考えられた.

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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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