抄録
1. 再生ゴムを生ゴム節約の一助として、生ゴムの一部に置換して製造せられたる3種の通信用2ケ撚編組ゴム線の被覆ゴム (總ゴム炭化水素量同一にして、生ゴムと再生ゴムとの配合比を變じたるもの並に生ゴム及び再生ゴムの量を増加したるもの) 及び同社製現用屋外ゴム線の被覆ゴムの分析を斷行し、その化學的組成を明らかにした。
2. 3種の編組ゴム線及び同社製現用屋外ゴム線の電氣的試驗を行ひたる結果、編組ゴム線の絶縁抵抗に於ては、a. 總ゴム炭化水素量同一なる場合は、再生ゴム量の多い方が低い値を示し、b. ゴム炭化水素量も増加し、再生ゴム配合率も亦増加せる場合、絶縁抵抗は再生ゴムに依つて抑制され、生ゴム量を増加しても大して向上しない。
3. 編組ゴム線の絶縁破壞電壓は、a. 總ゴム炭化水素量同一なる場合は生ゴム配合比の大なるものが僅かながら良好であり、總ゴム炭化水素量を増加する時は (再生ゴムをも亦増加しても) 破壞電壓は向上する。
4. 編組ゴム線の機械的試驗に於てはゴム量の大なるものが、抗張力、伸共に良好であり、同一ゴム量の場合には再生ゴムの配合量の大なる方が抗張力稍劣るも、伸は同一である。
5. 各種人工老化試驗に於ける編組ゴム線間に於ては、ゴム炭化水素量の大なるものが、機械的張度高く、ゴム炭化水素量の等しいものにあつては生ゴム配合比の大なるものが稍良好な値を示した。然し老化傾度は3試料の間に差を認め得なかつた。現用屋外ゴム線試料は未加硫のものながら老化傾度は良好であつた。