抄録
ゴムの可塑性は温度により大に影響を受けるがその關係は Williams の可塑性番號Kでは次の如く書き表はされる。(1)
logK+Blogt=A……(1)
即ちlogKとlogt (tは°C) 直線關係をなす。但し恒數A,Bは試料により異る。
又 Goodrich 可塑度計では未だ明にされてはゐないが軟度Sも一種の流動度で可塑性番號Kと同樣の關係が期待される。又可塑度Pも前報で述べた樣に可塑度の高い物質ではlogPがlogSに比例する爲同樣の關係となる筈であり、次の樣な實驗式を得た。
B'logt-logS=A'……(2)
B″logt-logP=A″……(3)
茲にA', B'及びA″, B″ は試料により異る恒數である。
以上K.S (又はP) は一種の流動度であつて第1報のScott 式の流動度a, 又は Ostwald-Bingham の式のφにつき考へると、之等については次の Arrheinius の式が期待出來るわけである。
loga=logA″'-E/RT……(4)
こゝにA″'は恒數、Eは流動に必要な活性化エネルギー (cal/mol) である。活性化熱Eは物質、重合度等により異るものである。例へば天然ゴムの素練により分子が崩壞し、流動度が増すと系統的に活性化熱Eが減少する事が明かになつた。然し同一流動度では同一のEを與へるとは限らず、結局分子分配その他により左右されるものと思はれる。これらの事は實用的には異る温度に於ける測定の比較が簡單でない事を示すが、學術的にはこの流動の活性化熱を測定する事により分子の分配模樣、内部構造を知るに有力な手段となる事を暗示すると思はれる。