日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
赤外吸収スペクトルによるゴム製品の識別法
乾留法
田中 武英狩野 任澄東 広巳
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1957 年 30 巻 10 号 p. 762-767

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抄録

本報文はゴム製品、特に天然ゴム、GR-I, GR-Sの乾留生成物を赤外吸収スペクトルによつてそれらの配合比の定量を行つた乾留方法と検量線に就いて発表するものである。従来の方法は主として有機溶媒、例えばオルトジクロールベンゾール、パラサイメン等に溶解し、そのままで又は薄膜にして赤外吸収スペクトルをとる方法であつたが、この方法では多くの時間と操作を費すことは免れない。
しかし、1953年、Donald L. Harmsはゴム及び他の高分子化合物を熱分解し、その生成物を赤外吸収スペクトルによつて定性分析を行つたが、われわれはこれを定量分析に応用し、どの位の精度で分析可能なるかを検討した。その為に特殊乾留管を作り、試料2g、乾留温度520℃、時間5分で乾留し、それらの赤外吸収スペクトルをとつて定量を行つた。その結果、天然ゴム、GR-I, GR-S、各配合ゴムの含有比決定は、±3%誤差の精度で行うことが出来ることが分つた。本報文ではこのような利点と同時に難点も記述しておく。

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