可塑化塩化ビニルの物理的性質は、弾性と粘性が共存する所謂粘弾性機構をもつものであるが、特にその温度特性は実用上きわめて重要であつて、これを支配する決定因子が可塑剤の種類と量にあることは言を俟たない。したがつて塩化ビニル用可塑剤については内外の多数の研究者によつて研究され多くの報告がある。われわれは最近わが国でDOA, DOZ, TOP, MARなどの数多の耐寒性可塑剤が国産化された機会に、これらの評価を兼ねて各種の実用配合の立案に直ちに役立つデーターをうることを目的として行いつつある試験結果の一部を報告して大方の御批判をあおぎたいと思う。今回の報告に使用した可塑剤の種類はフタレート類 (DOP, n-DOP, DBP)、フオスフェート類 (TCP, TOP)、アゼレート類 (DOZ, DBZ)、アヂペート類 (DOA)、セバケート類 (DOS)、リシノレート類 (MAR)、二次可塑剤エンパラ40、ソバロイドC ADK. S-3, O-120, D-100などで、試験項目は、1) 混練状態、2) 可塑化効率、3) 耐油性、4) 耐熱性、5) 体積固有抵抗、6) 耐寒性 (クラッシュ・ベルグ柔軟温度とASTM脆化温度)、7) 低温可塑化効率などである。
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