日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
加硫促進剤の研究
(第6報) 模型化合物を用いた架橋切断反応の研究
下里 錠次
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1959 年 32 巻 6 号 p. 452-459

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抄録

加硫ゴムのアルファ炭素サルファイド架橋の模型化合物として, ジベンジルサルファイド類ならびにその他数種の有機サルファイド化合物を用いてサルファイド結合の切断反応を検討した. その結果, サルファイド結合の切断に当っては硫化水素を発生し, その発生は加硫促進剤によって促進されることを認め, またこの硫化水索はサルファイド結合の隣の炭素原子に結合せる水素が活性硫黄によって引抜かれて生じたものと推定した. またこの切断反応に当っては, まづサルファイド結合の解離が必要で結合エネルギーの小さいジサルファイド以上におこり易く, 且つトリサルファイド以上の場合には硫黄の存在なしに切断がおこり得ることを認めた. 更にジベンジルジサルファイドならびにトリサルファイドの脱水素反応生成物にカニザロ反応を行なってジチオ安息香酸の生成を確認し, 切断反応の主生成物はチオベンズアルデヒドであることを推定し, サルフアァイド結合切断の反応機構を提案した.

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