日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
軽質炭酸カルシウムの表面処理について
(第1報) SBRラテックスによる表面処理
古川 淳二小谷 悌三山下 晋三
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1961 年 34 巻 2 号 p. 89-92

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抄録

SBR用充填剤としては, 粒子が細かく, かつ均一なことが必要であり. 表面処理剤によって分散状態が左右されることが知られている. 従来, 粒子を細かくし, 分散を良くするために各種表面活性剤, 脂肪族, 芳香族化合物で表面処理したり, 加硫促進の作用もかねて, アンモニウムアセテート類, ドデシールピリジニウムブロマイド等で表面処理することがなされて来た. 本報では粒子径を小さくすること, 加硫促進を目的とせず, 軽質炭酸カルシウムとSBRの化学的結合を作ることにより, 充填剤として良好な性質を有するように, 軽質炭酸カルシウムを表面処理することを目的とした. その方法として, 二重結合を利用する方法, 塩素の付加による方法, メルカプト基の付加反応による方法等が考えられおのおの実験を行なった. その結果チオール酸をSBRラテックスにまず付加させ, 次いで水酸化カルシウムに反応させ, 最後に炭酸ガスを通ずることにより, 表面処理軽質炭酸カルシウムを得る方法が, 現在まで得られた結果のなかで, 最も良いことがわかった. 例えばチオグリコール酸で処理すると, 無処理のものに比べ, 300%モジュラスが約2倍に, 切断時力は約3倍に増加することがわかった.

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