日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
活性充てん剤~未加硫ゴム混合系の粘弾性挙動
多成分系のレオロジー (第4報)
前川 悦治中尾 実二宮 和彦
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1967 年 40 巻 12 号 p. 1008-1016

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抄録

活性充てん剤二種とCis 4の未分別物および数個の分別物とを組み合わせ, 充てん剤濃度を変えて得た十数個の試料についてオートグラフにより測定温度範囲一30℃~80℃およびひずみの範囲0.1~3で応力緩和実験を行なった.その結果, 活性充てん剤を混入することによって媒体すなわちゴム部分の性質は変わるが, 本質的には既報の混合則が適用できることがわかった.すなわち内部ひずみに関するパラメター, φ2は不活性充てん剤の場合と同様に求めることができ, 弾性の大変形挙動の解析より 求めたものとも一致し, 測定の時間尺度 (温度) にもよらない。また, このφ2から計算される活性充てん剤の有効容積分率, υeは不活性充てん剤の場合と同様に真の容積分率と大差ないことがわかった.さらに媒体の性質の変化についてはゴム分子が充てん剤粒子表面で化学結合を起こして充てん剤粒子同志がゴム分子によって橋かけされるために起こるものと推定される実験的証拠が得られた。最後に, 破断現象の存在を考慮に入れることにより, 既報のムーニー指度の解析から得られた結果とここで得られた知見とが矛盾なく統一的に理解できることを示した.

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