日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
炭酸カルシウム配合ゴムのゲル生成に関する研究
バウンドラバーの形式に関する研究 (第4報)
丹羽 宏
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1967 年 40 巻 12 号 p. 1017-1025

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抄録

炭酸カルシウム配合ゴムのゲル生成量はゴムの種類によって異なるが, 炭酸カルシウムそのものの品種によってもかなりの差がある.
カーボンブラックの場合には, そのゲル生成量はブラックの比表面積に対応するが, 炭酸カルシウムについても同じことがいえる.たとえば, 比表面積の大きい炭酸カルシウムを用いると, BR配合においてさえ, カーボンブラックに近いゲル生成量を示すものもあるが, その生成機構や性状については, いまなお不明な点が多く, カーボンゲルとはかなり趣が異なるように思われる.
とくに, 超微細な一次粒子が鎖状に連なり, あたかもカーボンブラックのストラクチャーのような形態をもつ炭酸カルシウムについて, ロール薄通し回数を変えてゲル生成量を測定したところ, 薄通しによる影響はさほど認められなかった.それゆえに, 超微細炭酸カルシウムの連鎖形態は非常に弱い力で結合しているものと考えられ, ゴムに混練りした場合, 容易に破壊して一次粒子となり, カーボンブラックのストラクチャーとは性質および挙動が違うようである.
一般に, この種の炭酸カルシウムは, ゴム中で凝集体を作ることなく, 超微細な一次粒子になって分散するために, 加硫物の補強特性を向上する.
なお, 炭酸カルシウムやFTブラックをゴムに配合した場合に生成するゲルの性状は, 促進剤, 助剤などの有無によっても大きく影響を受けるが, ゲル量の測定方法を変えると, 異なった値として記録される.

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