抄録
BR, IRに主としてアミン系酸化防止剤を添加した白色加硫ゴムの熱酸化後の熱分析を行なった. その結果, BRの Control では熱酸化することにより, 熱分解曲線は熱酸化しないものに比べ高温側にずれるが酸化防止剤を添加することにより, Control の熱酸化しないものとほとんど同一熱分解曲線を画く. これらのことよりアミン系酸化防止剤は明らかに自動酸化反応を抑制していると思われた.
IRの場合, 酸化後でもほとんど熱分解曲線はずれない. これはBRと異なって橋かけ反応, 切断反応がこの実験ではバランスしているものと考えられた. 酸化防止剤を添加することにより, 酸化防止剤の特性の影響が現われ, とくに酸化に対する両ゴムのこれら酸化防止剤の効果はゴムの表面酸化層による酸化防止剤の揮散性に影響していると思われる.
参考のためゴム工業技術員会第1特別研究委員会のBR, NRカーボン配合加硫ゴムについて, 酸化特性を熱分解により検討したが, BRは橋かけ反応が盛んで, NRでは両反応のバランスの優劣により特徴が現われることがわかった.