日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
昇温時におけるナイロン6タイヤコードの疲労と水素結合力変化との関係および室温時におけるナイロン6タイヤコードの疲労に関する研究
タイヤコードの熱変化に関する研究 (第7報)
福原 節雄鈴木 康雄表 重夫桑山 長三
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1972 年 45 巻 6 号 p. 575-581

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抄録

(1) 加熱時のタイヤコードの疲労と微細構造中の水素結合力の加熱による低下との関係を研究するために, 昇温時のナイロン6フィルムの赤外線吸収スペクトルを測定し, N-H 吸収の波数増加率 (水素結合力の低下に対応する.) を測定した.また, 温度を各種温度に上昇させてナイロン6タイヤコードの熱時の疲労 (Disk 試験機を用いた) による強力低下率を測定して比較検討し, 次の結果を得た.
ナイロン6タイヤコードを疲労させるときの温度が高くなるにつれて水素結合力が弱わまり, それにつれてコードの疲労による強力低下が大になった.この際, 昇温時において, ナイロン6フィルムの絶対温度の逆数 (l/T) と次の2項 (i) N-H 吸収波数増加率の対数間には相関関係があった.すなわち, 温度が上昇するにつれて水素結合力が低下した.また, (ii) ナイロン6タイヤコードの疲労による強力低下率の対数間にも相関関係があった.すなわち, 温度が上昇するにつれて疲労度が大になった.
(2) 熱処理温度またはより数を変えたタイヤコードの疲労研究を室温雰囲気中で行なった.ポリエステルおよびナイロン6コードでは熱処理温度が高いほど, またナイロン6コードではより数が少ないほど疲労による強力低下は大であった.

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