日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
含硫黄アルデヒド重合体の熱安定性とそのオリゴマーの熱安定剤としての効果
熱安定剤としての含硫黄アルデヒドオリゴマー (第1報)
山下 岩男山本 襄山本 隆造
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1972 年 45 巻 6 号 p. 582-587

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抄録

含硫黄アルデヒド (SA), R'SCH (R) CH2CHO (R=H あるいは CH3, R'= アルキル, アリルおよび芳香族基) から合成したポリアセタール形重合体の熱安定性について研究した.熱安定性テストは, 一定温度 (100 または 150℃) において空気または減圧 (2 mmHg) 下で重量減少を測定する方法によって行なわれた.アセトアルデヒド, n-ブチルアルデヒドあるいはi-ブチルアルデヒドのような脂肪族アルデヒド重合体と比べると, 熱安定性は SA 重合体の方がかなり良好であった.
他方, SA と脂肪族アルデヒドとの共重合体はこれらの脂肪族アルデヒドの単独重合体よりは, 相当熱的に安定であるが, SA の単独重合体よりは不安定であった.この共重合体の熱安定性は, 共重合体中の SA成分量に依存していた.
なお, SA の環状三量体 (1, 3, 5-トリ置換トリオキサン) を, ポリアセトアルデヒドに添加したところ, ポリアセトアルデヒドの安定性が向上することを見出した.さらに, SA の側鎖スルフィド基の役割について若干の考察を行なった.

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