日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
カーボンブラック存在下で起こる過酸化ベンゾイルによるエチレングリコールの酸化反応
カーボンブラック粒子表面における反応 (第6報)
大北 熊一坪川 紀夫関根 恵一山田 敏夫
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1974 年 47 巻 1 号 p. 40-47

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抄録

過酸化ベンゾイル (Bz2O2), 2, 2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル, 一酸化窒素, ジアゾメタン, 過酸化水素および硝酸などの試薬で処理したファーネスブラック (HAF) の存在下で, エチレングリコールと Bz2O2 との反応を45℃で行ない, 未処理のカーボンブラックと比較して, それらの反応生成物を調べることにした.なお, Bz2O2と反応させた試料をけん化し, 表面に結合しているベンゾエート基をフェノール性水酸基に変え, これがグリコールの C-C 結合の開裂反応に与える影響を調べた.一般に, 処理カーボンブラックは未処理のものに比較して, エチレングリコールの C-C 結合を開裂させる能力が低下する.たとえば, Bz2O2や一酸化窒素, さらには硝酸で処理した HAF を用いると, Bz2O2によるエチレングリコールの酸化でアセトアルデヒドが生成する.しかしながら, けん化処理した HAF ではグリコール開裂能の大部分を回復していた.このような実験結果は, 粒子表面のベンゾノイド環や一部のフェノール性水酸基が C-C結合の開裂反応に関与していることを物語る.

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