ゾーノトライトのPVCへの充てん効果
(第1報) 機械的性質
1974 年 47 巻 1 号 p. 56-61
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1974 年 47 巻 1 号 p. 56-61
ポリ塩化ビニル (PVC) に対する新しい無機質充てん材の開発を目的として, 針状の結晶形を有するゾーノトライト (6CaO・6SiO2・H2O) のPVCへの充てん効果を検討した.使用したゾーノトライトはけい砂と生石灰を原料にして水熱合成した。その際, 機械的性質に及ぼす結晶の大きさの影響を見るために, 結晶の大きさの異なる2種類のゾーノトライトを合成した.これらを無可塑PVC及び可塑化PVC (DOP 20重量部添加) にそれぞれ10, 20, 40各重量部配合し, ロール練り, プレス成形して引張強さ, ヤング率, 衝撃強さを測定した.ゾーノトライトは比較のため同時に実験を行った表面処理微細炭酸カルシウムに比べ, 引張強さ, ヤング率の面では優れた補強効果を示したが, 耐衝撃性の面では強度の低下が見られた.また機械的性質に与える結晶の大きさの影響については, 結晶の小さいほうが引張強さ, ヤング率においてやや優れているが, 衝撃強さは逆に低い値を示した.なお, 引張強さ, ヤング率, 衝撃強さの各特性値を三角図表を用いて同時に表示することにより, 樹脂一充てん剤系の機械的性質を簡便に比較若しくは評価する方法を考えた.
