日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
ゴムと亜鉛の接着におけるナフテン酸コバルト添加の効果
芦田 道夫福本 隆洋渡辺 禎三
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1977 年 50 巻 12 号 p. 807-814

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抄録

金属塩を添加したゴムを亜鉛板と接着加硫し, 亜鉛面への添加金属と硫黄の分布をXMAにより求めた. 加硫中に亜鉛面へ移行するのはCo, Cu, Pbを含む有機金属塩のみであった. ゴム中の遊離硫黄もこれらの金属塩とともに亜鉛板に移行してきた. ナフテン酸コバルト中のCoは亜鉛層内に拡散して分布しているのに対し, Sは亜鉛板表面にのみ分布している. 両者の亜鉛板への移行量は添加量に比例して増加した. ゴムと亜鉛板の接着力はCo量0.6%までは増大し, それ以上の添加では著しく低下した. ナフテン酸コバルトの添加量を増すと加硫ゴム中の網目鎖濃度は変わらないが, 遊離硫黄は減少した. 加硫ゴム中の残留ナフテン酸コバルトは60°C以上の熱処理温度で酸化を促進し接着力も低下させる. カーボンブラックを含まないNRの誘電挙動より, 添加したナフテン酸コバルトは加硫温度でゴム分子の主鎖セグメントの緩和モードに影響を与えることがわかった.

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© 一般社団法人 日本ゴム協会
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