日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
ニトリルゴムとフッ素ゴムのブレンド性
奥本 忠興杉本 正俊市川 昌好
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1983 年 56 巻 12 号 p. 784-793

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抄録

耐燃料油のゴム材料として耐熱性, 耐劣化ガソリン性及び耐アルコール添加ガソリンに対して最も優れているのはフッ素ゴムであるが, 非常に高価である. 一般にはニトリルゴム (NBR) が使用されているが, これをベースとしてフッ素ゴム (FKM) とのブレンドによる性能向上を考えた. FKMとNBRの不均一混合系においてFKM相ができるだけ少ない量でもってFKM相を連続 (海) 相にしたブレンド構造に近ずけることにより, FKMの特徴を生かしてNBRゴムの物性は改良されることが期待される. 本研究では燃料配管系ホース材料としてのブレンドの基礎実験としてNBRとFKMのブレンド構造と物性の関係について調べた. またFKMを少なくして物性を維持するための分散剤の添加による物性への影響についても調べた.
NBR/Viton B-50のブレンドにおいてNBRとFKMのブレンド比が50/50付近では相の区別はつかないが, Viton B-50が 60vol. 比以上では連続相となり, 耐熱性と耐劣化ガソリン性は改良される. 一方, NBR/Viton GHの組成にかかわらず Viton GHが球状の不連続 (島) 相を形成する. また Viton GHの減少とともに耐熱性, 耐劣化ガソリン性及び耐ガソホール性は単調に減少する.
分散剤として各種ポリマーの中からエチレンアクリレートエラストマー(Vamac) はFKM 50vol. 比でFKMを連続相にすることが可能である. またエチレンアクリレートを添加したブレンド材料は耐ガソホール性に劣るものの耐熱性, 耐劣化ガソリン性にすぐれ, FKM60vol. 比のブレンド材料と同等以上の特性を有することがわかった.

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