抄録
粒子複合加硫物は, 粒子の界面活性の大きい場合には, 系は高次の構造を形成し, その力学的性質に大きい影響を与える. このような不均質構造を形成するゴム複合加硫物において, 微視的構造の各要素の力学量及び物理量と, 複合系の巨視的な力学量との関係を明らかにすることは重要な課題である.
この報文は, 粒子複合物の各構造要素のスピン-スピン緩和時間, 及び容積分率と複合系の弾性率, 体積弾性率及びポアソン比との関係について近似式を導き, 架橋密度の異なる純ゴム系加硫物, CaCO3及びカーボンブラック(HAF)を複合した加硫物について, 準静的範囲で実験し, かなりの精度で近似できることを示した.