ひずみエネルギー密度関数 (W関数) は, ゴムの力学的性質を記述する物質特性関数であり, ゴム弾性研究の基本となる関数であるが, 特にカーボンブラック補強ゴムのそれは実用上も同補強ゴムが構造部材として使用される場合が多く, その際の変形•応力解析に際してこの関数形が直接必要になる. しかし, その関数形はまだ完全には解明されていない. この論文ではカーボンブラック補強ゴムに焦点を絞ってW関数の近似関数を提出し, それの実験による求め方, 近似精度について検討した. 単純な近似関数(1)は一軸拘束二軸変形試験のみから求めることができる. C2, C3, C5, Nは定数.
W(I1, I2)=C5(I1-3)+C2(I2-3)+C3/N+1(I1-3)N+1 (1)
更に近似度の高い第2次近似関数は一般に二軸変形実験によって求まり,更に定数n及びmを追加する. ただし, N=n-mの関係があり, 新たな追加はn又はmの一つでよい.
W(I1, I2)=C5(I1-3)+C2(I2-3)+C3/n+1(I1-3)n+1(I2-3)-m (2)
また, 式(2)を一軸伸長及び一軸拘束二軸の2変形での実験のみで求める簡易法についても提案する. 近似精度はいずれの式も高く実用的である.