日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
トリアジンチオールとその誘導体によるフッ素ゴムの表面処理とその性質
森 邦夫大石 好行平原 英俊原田 均
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1993 年 66 巻 10 号 p. 731-740

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抄録

フッ素ゴム(FKM)架橋物の表面物性を改良する目的で, 6-ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジンチオール-2,4-ジチオール(DB), NaOH, およびテトラブチルアンモニウムブロミドからなる水溶液 (W法)とこの反応で得られるDBのアンモニウム塩のアセトン溶液(A法)でFKM架橋物の表面を処理した.
W法における表面処理は50~95°C, 15~60分間の浸せき条件で行い, これを200°Cで20時間ポスト架橋して表面処理FKM架橋物を得た. DB反応量や反応深さは反応試薬の種類, 濃度, 温度および時間の影響を受け, 反応試薬のFKM架橋物への拡散が処理速度における律速過程であった. A法においては, アセトン溶液にFKM架橋物を浸せきして反応試薬を付着させ, その後200°Cで20時間加熱して処理は完結した.
FKM架橋物はこれらの表面処理によって摩擦係数と固着強度を減少させるが, A法は表面物性を改良させる点で, また手軽さの点でW法が優れていた.

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