日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
PMVL, PMPA系ポリウレタンの加水分解安定性へのジイソシアナートの影響
古川 睦久前田 修二北川 孝典横山 哲夫
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1994 年 67 巻 2 号 p. 142-150

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抄録

新規ポリエステル系グリコールであるポリ(β-メチル-δ-バレロラクトン)グリコール(PMVL)およびポリ(3-メチルペンタメチレンアジペート)グリコール(PMPA)を基材とし, TDI, MDI, HDIを用いて合成したポリウレタンの凝集構造と力学物性および加水分解安定性の関係を, DSC, X線回折, 動的粘弾性, 応カ-ひずみ関係の測定から調べた. 新規ポリウレタンの力学物性は汎用ポリウレタンと同様に, ジイソシアナートの構造に依存する. TDI系ではソフトセグメントとハードセグメントが充分混合しており, Tgは高くなり, 伸びは小さい. HDI系ではミクロ相分離構造を取る傾向にあり, Tgは下降し, ゴム弾性域が広くなるとともに, 力学物性にはハードセグメントによる補強充てん効果が見られる. MDI系ではTDI系とHDI系の中間の状態にある. 吸水性はMDI系<TDI系<HDI系の順に増加し, 100°Cの水への浸漬により, HDI系の弾性率は可塑化効果のため初期に低下するが, その後, 低下は見られなかった. 耐加水分解性はTDI系<MDI系<HDI系の順に大きくなった.

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© 一般社団法人 日本ゴム協会
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