畑, 庭, ゴミ捨て場などの土中に散乱するLDPE(低密度ポリエチレン)フィルムを採取し, 生分解状況を観察, 分析した. その結果, 一様に土壌に埋没していた部分では白色化が見られ, 無数の空孔も生じていた. ダメージを受けている部分をラクトフェノールコットンブルーで染色し, 顕微鏡観察したところ, 分解部位では細菌と推測されるコロニーの存在が確認され, 更に顕微鏡FT-IR分析でも生分解の特徴である主鎖中の-C=C-結合の存在とハイドロパーオキサイド, アルコールに由来するOH基の吸収の著しい増加を確認した. 一方, 土壌に埋没していない透明部では通常の光劣化等で生ずるC=Oの存在が認められるのみで, ラクトフェノールコットンブルーの染色もあまり認められない. これらの結果から, 回収されず散乱しているLDPEフィルムが土壌に埋没している場合には光, 雨等による通常の劣化と微生物の作用による劣化が相乗的に生じ, 比較的速く生分解してゆくことを確認した.