抄録
1. 1963. 64年の2年間,混播牧草について,かんがい方法を散水法と越流法の2方法とし,各々に水量少量区と多量区を設け,生育および夏枯れ防止に対する影響を調査した。2.混播牧草の風乾物収量は,無かんがい区年間197kg,かんがい区は210〜230kgで,かんがいの効果は,期間中の収量に対し,平均40%,年間収量に対し,初年目8〜10%,2年目13〜23%認められた。3.かんがい方法間では,散水法が1〜6%多収であつたが,これは水の分布が均一になったためで,植生上両者に大きな差は認められなかった。牧草定着後の越流かんがいは土壌浸蝕,肥料の流亡などは殆んどみられず,条件のゆるす傾斜地においては,有効なかんがい方法と考えられた。4.少量区に対する多量区の増収効果は,初年目の盛夏に若干認められた他は小さく,1〜4%の効果にとどまつた。乾物生産量からみた必要水量は5〜7月上旬で1日平均3.5〜5mm,盛夏で5.5〜6.5mmと考えられた。